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ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(講談社文庫、2000 / 原著1986)

ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(講談社文庫、2000 / 原著1986)

心優しき大男ガンプ(”知能指数は並以下”)の冒険譚。

現代ファンタジーといった雰囲気で、特殊学級→体格を見込まれ高校フットボールにスカウト→大学フットボール→退学→陸軍・ベトナム戦争→宇宙飛行→ジャングルで遭難→西武でプロレスラー→事業で成功→旅のハーモニカ吹き、と展開します。

ベトナム戦争の英雄として大統領に面会するシーンがありますが、民主党のジョンソン大統領と思しき人物を好意的に描く(ビバリーヒルズ白書を欠かさず見る好人物)一方、共和党のニクソンを病的な小物と描く(ウォーターゲート事件のトラウマで発狂、言葉尻を捉えては大騒ぎし、副大統領になだめられる)など当時の「リベラル」な(サヨくさい)雰囲気も濃厚です。

【本文より】
○いまは、もうそんなわけにはいかない。年がら年じゅうディナー・パーティにひっぱりだされて得体のしれない料理や特大のイヤリングをつけた女の人たちとつきあわなくてはならない。一日じゅう電話の音は鳴りやまないし、だれもかれもがぼくを質問攻めにする。上院議員なんかになったら、もっとひどいことになっていたはずだ。今のぼくにはじぶんの時間なんてこれっぽっちもありゃしない。なんだか、すべてがぼくに横を通りすぎていってしまうような感じだ。
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フィンレイソン『そして最後にヒトが残った』(白楊社、2013)

フィンレイソン『そして最後にヒトが残った』(白楊社、2013)

スペインの人類学者による研究。

「現行人類が唯一の生存者=成功者である」という一般の理解が誤りであることを指摘し、近年の研究による証拠を積み上げることで、人類の拡大は数々の集団によってさまざまな実験がなされた結果であり、その中で「たまたま現在まで生き残った」のがわれわれである、との結論に至っています。

一般に理解されている、アフリカにいた人類が徐々に進出して各地に根付いたという「単一起源説」に対して、著者はさまざまな集団が各地で独自に発展したとする「多地域進化説」に同情的な立場を示します。後者は人種問題に関連して議論を呼んでいるところで、現在でも確定的な答えはないということではありますが。

この他、「進化」=適者生存、環境に最も適応したものが生き残る、という単純な説明を否定してみせたり、ネアンデルタール人と現行人類との交配を論じたりと興味深いトピックがならびます。




■関連

チャーマーズ『意識する心 ― 脳と精神の根本理論を求めて』




ズック『性淘汰 ― ヒトは動物の性から何を学べるのか』





バラシュ『女性の曲線美はなぜ生まれたか ―進化論で読む女性の体』


吉野敬介『だからおまえは落ちるんだ、やれ!』(KKロングセラーズ、2011)

吉野敬介『だからおまえは落ちるんだ、やれ!』(KKロングセラーズ、2011)

代ゼミの名物講師、吉野先生の半生記。

「4ヶ月間で国語の偏差値を25から86に上げて國學院に合格」という触れ込みですが、その背景は時間でなく分量で決める勉強スケジュール(これは資格試験の王道パターンではあります)、必然的に短くなる睡眠時間、一日20時間の猛勉強で古文、現代文、日本史を極めて見事に合格。発表と同時に血を吐いて倒れ入院したとされています。

ヤンキー高校を卒業後、中古車販売で頭角を現す吉野先生。
持ち前の行動力でモデルの彼女を掴まえたりと青春を謳歌。

そんな19歳のある日、女子大生モデルの彼女は同じ大学に通うモデル男性に気移りし、吉野先生に別れを告げます。
「やっぱり大学くらいは行ってないと」

ここから吉野先生の快進撃が始まり、現在に至るキャリアが展開。

文法も単語も、感じすらも知らない、そもそも何をやればいいのかすらわからなかったという若き吉野先生。
その勉強法はこんな感じです。

・寝る前に「翌日にやる分量」を決める。
・一日20時間の勉強。そうと決めたわけでなく、やることをやっていると結果的にそうなった。
・70時間ぶっ通しで勉強したことも。眠たくなったらユンケル入りコーヒーをがぶ飲み。

根性論に見えますが、「時間でなく分量で決める」あたりは勉強法の王道といえます。

負けず嫌いと根性で成果を出した吉野先生。
今の姿でなく、中古車ディーラーとして成功した先生の自伝も読みたいものです。




■大人向けにもいろいろ展開しておられます。

みうらじゅん『「ない仕事」の作り方』(文藝春秋、2015)

みうらじゅん『「ない仕事」の作り方』(文藝春秋、2015)

著者の「ひとり電通」仕事術のまとめ。

見た目からしてロン毛+サングラスの怪しいおじさんですが、そもそも意識的にやっているそうで、「普通」な自分の否定 → 自分を洗脳して「俺はこれが好きなんだ」と思い込む → 誰もやっていないことを開拓というルーティンであれこれ切り開いておられるとのことです。

デイリーポータル編集長の林雄司『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』(扶桑社、2014)に似た、気負わない仕事スタイルでありつつ、こちらのみうら氏は真面目ぶって無茶なことを書いているのが愉快です。

たとえば、嫌なおみやげ=「いやげ物」を閃いたみうら氏は、その「いやげ物」を買うためだけに日帰りで観光地でかけ、欲しくもないいやなおみやげ物を買いまくったり、見かけなくなった昭和の「ゴムヘビ」を集めるため台湾の工場に出向いて大量買い付けしたり。


【本文より】
◯今売れているもの、注目されているものは、すでに「ある仕事」なので、そこには手を出しません。

◯「フィギュア」も「和風」もすでにある言葉だし、すでにすごいマニアもいるでしょう。でも「フィギュ和」という土俵には、まだ誰もいない。自分で新たな土俵=ジャンルを生み出せば、自分以外の誰も博士になれないわけです。

◯観光地に行って、「うわ、これいらないなあ」と思った瞬間、「俺が買わねば!」とスイッチを入れて買います。土産物屋で木彫の不細工なビーナス像が4万円くらいで売られていたときには、さすがに躊躇しましたが、もう後戻りできません。

◯高級車を買うよりも、高級ドールを買うほうが、不自然だからです。そして購入後、誰かに「なでこんなもの買ったんですか?」と問われたとき、「全くですよ。魔が差したんですかね」と答えるのではなく、「え、今ラブドール買うの、当たり前じゃないですか?」と平然と答えるわけです。

◯「仕事が、ない」という言い方はたまに聞きますが、「そもそもなかった仕事」を「ある」ように見せるのは、それこそ般若心経の「空」の考え方です。

◯何かを見たり聞いたりしたときに、すぐに好きか嫌いかを判断できるものは、そこで終わりなのです。好きなのか嫌いなのか自分でもわからないもの。違和感しか感じないもの。言葉では説明できないもの。私はそういったものに、グッとくるのです。


成毛眞『教養は「事典」で磨け』(光文社、2015)

成毛眞『教養は「事典」で磨け』(光文社、2015)

書評サイトHonzの成毛代表による教養本


ノンフィクションといえばこの人!というだけのことはあり、事典を「読む」という視点からその効用を余すところなく語っています。

事典は項目ごとに独立していて短い時間でさっと読めるので、疲れた時に読むものとしてよい、との発想は活字中毒者ならでは。

紹介される人物事典や人名由来辞典は文系少年の心を捉え、理科年表に学名事典は理系少年をえぐります。

【本文より】

◯ある分野の素人には、その分野を学んでいく過程を楽しむ権利があるのである。この権利は、もうその分野の専門家になってしまった人には、行使できない。

◯事典は、疲れたときに読む本として最適である。




■うんちく好きにはたまらぬ人名語源辞典。これだけで一ヶ月は遊べました。


プロフィール

望月もちお

Author:望月もちお
モチ好きな祖父に名付けられた本名です。

手ぶら通勤おじさん

SFと古典
ポケモン&ガンプラ


2017.10 ガンプラに目覚める。ミニマリスト廃業。
2017.5  ミニマリストに目覚める。
2004〜プリストンテールやってました。2009がピーク。

ガンプラ・ゲーム垢 https://twitter.com/moccinag
まじめ垢 https://twitter.com/mocciom
本棚 http://booklog.jp/users/mocciom

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