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片田珠美『「自分が絶対正しい!」と思っている人に振り回されない方法』(2015、大和書房)

片田珠美『「自分が絶対正しい!」と思っている人に振り回されない方法』(2015、大和書房)を読む。

『他人を攻撃せずにはいられない人』『プライドが高くて迷惑な人』が評判を呼んだ精神科医の新作。

己の人生をこれらの攻撃者から守るために、病識なき悪人、しかも「俺は絶対に正しい」との観念を抱いた始末に負えぬ人格破綻者をどうあしらうべきか。病理構造と対処法が語られています。

あるあるすぎて泣けてくるほど、急場に間に合う内容、まさに人生の攻略本といえましょう。

職場を崩壊させるアスペさん、部下を病気にするクラッシャー上司。旧帝大の落ちこぼれとバカ大の上澄みが机を並べる役所では複雑なコンプが渦巻いています。

病識を持たぬ悪人が「私が常識だ」とばかりに大手を振って暮らす暗黒の世、自分を守るのは自分だけとの覚悟を定め、かくて研究は深まっていきます。

【本文より】
◯世の中には「自分が絶対正しい」と思い込み、周囲の意見などまるで聞かない人が本当に大勢います。[中略] 「自分は常識人」と思い込み、価値観が合わないと「あの人は非常識だよね」「モラルがない」と文句を言う人/ 自分の知識や経験だけが「正しい」と信じ込み、他人が持ってきた情報や意見には「それって違うよ」「本当はそうじゃないんだよ」と上から目線で否定する人

◯きっとあなたの周りにも「自分の意見を通すために、すぐに怒る」という人が一人や二人いるはずです。/これはまさに利得型の得意パターン。/彼ら、彼女らは「怒れば周りが言うことをきく」ということを経験的に知っているのです。

◯自分が持っている経験というレモンは甘いが、若造が持っている知識というブドウはすっぱいに決まっている、という論法です。/「自分の価値が上で、相手が下」という構造を作りたがるのも自己愛型の際立った特徴です。

◯"病識"のない人に自覚を促すのは無意味

◯精神医学では「自分は病気である」という自覚を"病識"と呼んでいますが、「自分は被害者なんだ」と思い込み、他人を攻撃する人にはこの病識が不足しています。[中略]病識のない人、つまり加害者なのに被害者だと思い込んでいる人に「あなたは間違ってますよ」「あなた自身が加害者なんですよ」と気付かせることはほとんど不可能です。


◯ここで何より大事なのは、あなた自身が被害者にならないことであって、相手に「あなたは加害者だ」と気付かせることではありません。

◯わざわざ訴えるのは、そこに「否認と羨望」の心理が潜んでいるからです。/「自分には学歴がない」という事実を否認したいがために、「学歴なんて関係ない」と主張せずにはいられないのです。[中略]コンプレックスがある人ほどその部分を否認したいばっかりに「これは絶対正しい」「これは間違っている」と極端な思考に陥りやすいといえます。

榎本博明『「過剰反応」社会の悪夢』(角川新書.2015)

榎本博明『「過剰反応」社会の悪夢』(角川新書.2015)を読む。

心理学者がクレーマーの心理構造とその背景にある社会要因に迫ったもの。

銀行や役所の待ち時間に文句をつけるクレーマー(待ってるのは皆同じ)、ゆがんだ自尊心で周囲を振り回す困った人。職場の人間関係の問題が明らかにされています。

片田珠美『他人を攻撃せずにはいられない人』『プライドが高くて迷惑な人』は内部の(濃厚な)人間関係にフォーカスを当てていましたが、こちらはより広く、一過性のクレーマー、それに対する過剰反応の構造をも解き明かしています。

【本文より】
◯だが、偽物のプライドを持つ人は、自己誇大感と自信のなさの間を揺れ動くため、人からからかわれると笑う余裕がなく、弱点を指摘されると素直に認めることができず、失礼な態度を取られると許すことができず、過剰に攻撃的な反応を示すことになる。それは、脆くてすぐに崩れそうなプライドを必死に支えようとする悪あがきなのである。

◯「プライドが高いから扱いに注意しなければならない」というような相手は、自尊心の高い人というよりも、うぬぼれの強い人なのである。自尊心を高く持ちたいという気持ちは強いのだが、ほんとうの自信があるわけではないため、ちょっとしたことで自尊心がぐらつく。だから、うっかりしたことを言うと機嫌を損ねたり怒り出したりするから扱いが難しいということになる。

◯窓口業務の人たちは、そんなクレーマーにしょっちゅう悩まされる。[中略]急いでいるのにずっと待っているのはみんな同じだ。順番を抜かされたわけではないし、銀行員がサボっているわけでもない。それなのについ怒りの衝動が込み上げてきて、我慢が出来なくなり、案内係や窓口の人間を捕まえて、/「こっちは急いでいるんだ!いつまで待たせるんだ!」とクレームをつけずにいられなくなる。[中略]明らかに未熟な過剰反応というべきであろう。

西田昌規『「器が小さい人」にならないための50の行動』(2011、草思社)

西田昌規『「器が小さい人」にならないための50の行動』(2011、草思社)を読む。

医科歯科大、ハーバードメディカルスクールで睡眠医学を修めた精神科医が「怒り」のメカニズムについて脳科学の見知から掘り下げたもの。

「ムカついた」「テンパった」とき、脳はどのような状態にあるのか。またその場面での脳科学的に正しい対応策は。後半の対応策については著者の経験ということで、やや軽い描写になっています。

従来、「怒り」を扱った書物では宗教的な観点や道徳的な観点からの自己修養を説くものが多くありましたが、これは違います。欧米仕込みのアンガーマネジメントのさらに土台を為すもの。

古い企業では「怒りっぽい人だから」で片付けられてしまいがちですが、程度問題で人格障害が疑われるものまでさまざまです。根性論で受け入れるのでなく、ガマンせず、距離を取ること。脳科学が心理療法の格言の正さを傍証します。


【本文より】
◯敵意を持った陰性感情としての怒りの神経回路は、以下の四つの脳部位が関係していると考えられています。
1.前頭葉眼窩面と腹内側前頭皮質
2.背外側前頭皮質
3.扁桃体
4.前帯状回
それぞれの脳部位が、攻撃性や衝動性、暴力行為など、怒りに関連する行動に重要な役割を担っています。


◯怒りに関連する化学物質として知られているのは、神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリン、ドーパミン。男性ホルモンであるテストステロン、抗利尿ホルモンであるバソブレッシンなどです。この中で、科学的に根拠がいちばんしっかりしているものな、セロトニンです。


◯客観性を欠いた状態で、自分のエゴだけがどんどん肥大してしまうと、人間はどうなってしまうのでしょうか。「自己愛」が病的に肥大してくると、人間はどういう状況に陥るのでしょうか。たとえば大した業績もないのに才能を誇張する「誇大性」、自分が特別な存在であるという間違った自信、過剰に賞賛されたいという強い欲求、他者への共感の欠如、強い特権意識、成功してい他人への病的嫉妬、尊大で傲慢な態度。こういった人が身近にいると大変です。

◯そういうときこそ、扁桃体の機能を利用しましょう。「闘争か逃避」反応の中の「逃避」です。可能ならば、物理的に離れてしまうのです。

◯会社など職場には、必ず自分とウマの合わない人がいるものです。時間を区切って、苦手な人とコミュニケーションを取っていくというスタンスもあります。ある程度は試みてもいいでしょうが、やはりあまりに自分に負担がかかるようならば、その人とは話さない、近づかないなど、物理的な距離を取ってしまったほうが、気が楽になることはあります。

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』(2005、紀伊國屋書店)

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』(2005、紀伊國屋書店)を読む。

76年の原著を米国で心理学を修めた柴田氏が訳したもの。

著者のジェインズは心理学を専攻し、プリンストン大学教授として動物行動学を研究し、のち人間の意識へと興味を移しています。

本書では意識の誕生に迫るべく、考古学、歴史についても掘り下げつつ、人類における哲学と意識の在り方に迫っています。欧米式の知識人というべく、プラグマティズム一辺倒でなく、ギリシャ詩に「人の意識の在り方」を探ってみたり、権力者の埋葬形態から残された人民たちの心の変化を類推したりと分野を問わぬ考察ぶり。

簡単にまとめてしまうと、文字を持つ以前の人間の心は、命令を下す「神」と呼ばれる部分と、それに従う「人間」と呼ばれる部分との2つ、すなわち「二分心」を持っていたとの仮説を提示しています。

評論家に「ソフトウェア考古学」と評されただけあり、証明も反証も困難な推論の世界ですが、思考実験として実に興味深く。これで生涯遊べてしまうレベルです。

この二分心は現代人のココロにもまれに発現し、統合失調症として知られます。古代社会が、あるいはギリシャの神々が、あるいはジャンヌダルクが、「声」を無上なる神の命令ととらえてひたすらに目的に邁進した姿勢。この「声」に対する受容プロセスはまさに統合失調症そのものだと。

文明以前の人類はみなこの統合失調症の状態にあり、やがて文字を持つことで逃れ出してきたが、ときに先祖返りを起こすものが出るという衝撃的な解釈。

1982年の前書きを読むと、著者は続編を予定していたようですが、完成を見ることなく97年に脳溢血で死去。唯一の著作としてこれが伝わるのみです。

【本文より】
◯『イーリアス』の英雄は、私たちのような主観を持っていなかった。彼らは、自分が世界をどう認識しているかを認識しておらず、内観するような内面の〈心の空間〉も持っていなかった。

◯現代の統合失調症患者が聞く「声」は、患者本人に劣らず、いや、しばしば彼ら以上に「考える」。こうしてナトゥフ人が聞いたと私が想像している「声」は、やがて、王自身が言ったためしもないようなことを即興で考え出し、「言う」ようになりえたはずだ。

◯(統合失調症について)彼らはパニックに陥るが、パニックは彼らに起きているのではない。彼らはどこにもいないのだ。どこにも拠り所がないのではない。「どこ」自体がないのだ。そしてそのどこでもない場所で、どういうわけか自動人形になり、自分が何をしているのかわからぬまま、自分に聞こえてくる声や他人に操られ、異様でぎょっとするような振る舞いをする。(中略)だが、じつは彼らは「二分心」に逆戻りしているのだ。

ヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』(1993、草思社)

ヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』(1993、草思社)を読む。

著者は自然人類学者で、本書の発刊当時はニューヨーク自然史博物館研究員。

結婚の形態や愛情3年説に迫った興味深い著作です。後者はとにかく世間でマイナスイメージが語られますが、これにも進化心理学的な合理性があったのです。愛情の発展的解消、安定をもたらす愛着へ。

具体的には、リーボウィッツの愛の化学作用の研究とその後継研究に言及し、ロマンティックな恋愛の期間は18ヶ月から3年持続し、のち、より安定的な愛着へと移行すると語られます。

また結婚形態についての言及も興味深く。繁殖戦略だけを思えば、オスにとって一夫多妻のほうが有利なように思われますが、しかしそれでも一夫一妻のほうがより自然なのだとか。

【本文より】

◯ここで、さらに油断ならない情動が生まれる。愛着だ。このあたたかくて快適で安定した感情については、おおぜいのカップルが感じたと語っている。リーボウィッツは恋の情熱がうすれると愛着が生まれ、新しい化学作用にとってかわられると考えている。(中略)これは心を落ち着かせ、苦痛をやわらげ、不安をしずめる働きがある。(51)

◯この男女の好みは先天的なものだろう。元気な子孫を産むことができる女性と恋に落ちたほうが、オスの遺伝子には有利だからである。若さ、きれいな肌、輝く瞳、つややかな髪、白い歯、しなやかな身体、元気のよさなどは、遺伝子の未来にとって重要な健康と活力を意味している。女性にとっては、財産は力と権威と成功、扶養能力を意味している。もちろん、子供たちをやしなえる男性に惹かれるほうが、女性にとって生物学的に有利なのだ。(43)

◯一夫一妻は自然なのか。そのとおり。(中略)一夫多妻もまた自然なのである。女性は不利益を資産が上回ればハーレムに入る。一妻多夫もまた自然である。だが、複数の妻たちは争うし、複数の夫も角つきあわせるだろう。男も女も、よほどの財政的魅力がなければ、配偶者を共有しようとはしない。(中略)人間の場合だけ、一夫多妻も一妻多夫も例外的な選択でしかなく、一夫一妻がふつうなのだ。ひとは、強いてうながされなくても、ふたりずつペアになる。(65)
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望月もちお

Author:望月もちお
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