宮崎俊一『成功している男の服選びの秘訣』(講談社、2012)

宮崎俊一『成功している男の服選びの秘訣』(講談社、2012)

松屋銀座のバイヤーで売り場にも立つ著者による、中年向け大人の私服ガイド。

良い物を長く(最低5年)使う思想で、高品質な「定番アイテム」を揃えることを推奨しています。

プロらしく「カジュアルスタイルに不用意に手を出すことが失敗の原因」とし、白シャツの重要性をとうとうと語ります。

一方で、「5年使えないものは5000円でももったいない」と利用者目線のアドバイスも。

【本文より】
◯いろいろなアイテムに手を出さず、「白のドレスシャツの、着こなしバリエーションを増やす」ことにお金と知恵を注ぐのは、ファッション偏差値を効率的に上げる賢い方法です。

◯私自身を例に挙げれば、「休日のリラックス感を表現するなら、白のドレスシャツをノーアイロン・ノータイで着て、腕まくりでもすれば十分」

◯アイテムの数を増やすことは、必ずしもセンスアップには繋がりません。




■もう少し若い人向けに「基本」のベーシックアイテムを紹介したもの

MB『最速でおしゃれに見せる方法』
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MB『Men'sファッションバイヤーが教える 「おしゃれの法則」 』
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久保田卓也『大人のための私服の教科書』(飛鳥新社、2013)

久保田卓也『大人のための私服の教科書』(飛鳥新社、2013)

レディスアパレルで販売員、営業、デザイナーを経験、のち独立した著者による「フツーのおしゃれ」ガイド。

全編に渡ってジャケットやパンツのイメージをイラストで示し、「これはよい」「これは悪い」という感覚を伝えてくれます。

が、今年出たMB『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社、2015)や大山旬『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』(ダイヤモンド社、2015)が着用写真を多用してより具体的なのに比べると今一つです。

もやもやしてわかりにくい「おしゃれ」の基準を「K値」(けーち:カッチリ度)で指標化している点が素人にもわかりやすく、入門の入門としてはとっつきやすくなっています。
(チノパンは6K、デニムは5−6K、カーゴは4Kなど)

提唱するのはシンプルな理論で「おしゃれの完成形はスーツ(=10K)」なので、そこから「マイナスα」して「6−7Kを目指すのが正解」とされています。

題材がイラストばかりでパット分かりにくいのが惜しいところですが、この考え方をベースにファッション誌やWEARで研究を深めるとよさそうです。

読者を甘やかすばかりでなく、「顔にもK値がある」「こだわりを捨てよ」など厳しく導く姿勢が刺さります。

【本文より】
◯顔のカッチリ度合いによって、K値が9ぐらいの人と、2ぐらいの人がいる。[中略]服自体のK値は7くらいあっても、顔のK値が5くらいの人だと、全体のK値が下がってしまいます。

◯「服は詳しくないんだよ」と言ってる男子に限って、ものすごく細かいところにこだわる傾向があります。「興味ないって言ってたのに、肘当てとかは嫌がるの!?」みたいな。[中略]初心者がいきなり細かいことにこだわっていたら、コーディネイトは難しくなるばかりです。


MB『Men'sファッションバイヤーが教える「おしゃれの法則」』(宝島社、2015.11)

メルマガが大評判となった「カリスマバイヤー」MBさんによる初心者おしゃれガイド。

メルマガやブログで繰り返し語られる「ドレスとカジュアルのバランス」理論に基づき、初心者がまず何をするべきかを解説しています。

モノトーンをプッシュする姿勢やユニクロ、無印などの一見おしゃれでないショップを推すところは賛否両論を呼んでいますが、ミジンコがヒトになるためという目的に照らせば実に筋の通ったガイドです。

一方で編集時期の問題なのか、夏を意識した解説(無地Tシャツ、ポロシャツの選び方)が多い印象があります。

また9月に出た『最速でおしゃれに見せる方法』が50あまりのコーデ例を載せていたのに対して、こちらはベーシックアイテムのコーデ例5つを載せるに留まっており、基礎編としての位置づけになっています。


【本文より】

◯服自体の美しさではなく、服を着た自分自身という全体の美しさを考えるのです。服単体のデザインや見た目を先行するのではなく、「脚を長く見せるためにはどうしたらいいのか」「顔を小さく見せるためにはどうしたらいいのか」「大人っぽい印象を与えるにはどうしたらいいのか」…。そういった、自分を美しく見せることが基本のコーディネイトです。

◯質が良いからおしゃれなわけではありません。
 粗悪な材質だからダサいわけではありません。
 質は所詮、洋服の一要素に過ぎません。

◯セールというのは、所詮「売れ残り」に過ぎません。





■発展編のほうが先に出ています。

MB『最速でおしゃれに見せる方法』
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MB『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社、2015.9)

MB『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社、2015.9)

学生時代からアパレルに従事し、店舗スタッフ、店長、本社企画を経てバイヤーとなった著者による「ファッションの教科書」。

冒頭で語られるように、若いころの「ファッションはセンスと言いながら”おしゃれだ”と評価される人は共通、ならばそこには理論があるはずだ」との着眼から年月を重ねて大量の資料を蓄積、実務の傍ら研究を深め、ここに結実します。

「あの頃の自分に教科書として読ませたい」という強いモチベーション、著者の動機としてこれほどのものはありません。

おしゃれには理論がある、との観点からユニクロなども積極的に活用する著者ですが、少し前に出た大山旬『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』(ダイヤモンド社、2015.6)よりも理屈が強め。後者がセンスで白デニムをプッシュするのに対し、こちらは色の理論も駆使して軽い色である白がボトムに来るのは不自然、として黒スキニーに黒シューズを推しています。

何にせよ、これまで暗黙知とされていたセンスについて一定の理論として開示されたことには大きな価値があります。

あいまいな評価基準に振り回される若手ビジネスマンが出世の仕組みを知った時のような、爽快な読後感。

【本文より】

◯日本人のファッションはアメカジに寄りすぎている

◯「センス」ではなく「ロジック」が必要

◯「欧米人のセンスには敵わない」のであれば、そのセンスを「論理的な法則」として理解すればいいだけです。

◯服は「ボトムス」から揃える

◯コーディネートの印象はパンツとシューズで7割が決まる

◯多くの人は「おしゃれ=他人と違って目立つ」ことだと勘違いしていて、おしゃれを目指す人は目立つ服装をしたがります。(中略)派手で目立つデザインはカジュアルに寄りすぎてしまい、「不正解」へと近づく一因になっていることを理解しましょう。

◯実は、長く使えるアイテムとは、「めちゃくちゃかっこいい!」と単品で惹かれる洋服よりも、「強烈に惹かれはしないけど、悪いところがない」ものだったりします。

大山旬『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』(ダイヤモンド社、2015)

ショップ店員からパーソナルスタイリストに転じた著者による、大人の服装ガイド。必要十分な範囲でそろえたシンプルなものを着回そうという思想はミニマリストの教えに通じるものがあります。


入門編とはいえ、ヨレヨレの服を着る「無頓着型」だけでなく、あれこれ柄物や小物を買い込んでしまう「独自センス型」を主要ターゲットとし、「実はファッションが苦手な方の7割がこちらに分類されます」と指摘。ガツンときます。

カラー写真でダルダルのシャツとぴったりフィットを比較したり、「ひと目でわかる」構成となっており、具体的に買うべきものとして、ユニクロのベーシックもの、スーツカンパニーまたはアローズやティンバーランドなどセレクトショップのシャツ、とシロートにもわかりやすい具体的な解説がなされています。


【本文より】

◯何度もお伝えしているとおり、大人のファッションには「ふつう」がとても大切です。パッと見では大して特徴のないシャツを選ぶことが実は大切なのです。よい服にはわかりやすい装飾はなく、とてもシンプルです。

◯ここでおすすめする具体的なシャツはというと、無地の白シャツ、デニム地のシャツ、ギンガムチェックかストライプの柄物シャツ、以上の3種類。

◯必要なのは数ではありません。少数精鋭の着回しのきく上質な服です。
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望月もちお

Author:望月もちお
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