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セネカ『倫理書簡集』(高橋宏幸訳、2005、岩波書店、「セネカ哲学全集5」所収)

セネカ『倫理書簡集』(高橋宏幸訳、2005、岩波書店、「セネカ哲学全集5」所収)を読む。

帝政ローマの暴君ネロの師、のち死を賜ったセネカから若者ルーキーリウスへの書簡集。あるいはそれに仮託して書かれたもの。

若者に向け、ストア派やエピクロースの言葉を縦横に引用し、これぞ古典的知識人といった趣です。内容的には内心の恐れを取り除くために清貧を説いたりとストア派寄り。

また樽のディオゲネスのような生活を期限を切って行うことで、その恐れが実は恐るに足らぬものであることを体得させようと働きかけます。

訳者は京大西洋哲学の博士で、刊行当時には京大助教授となっています。

【本文より】
◯自然が必要とするものは、すぐに手に入るように目の前に置かれている。余計なものを求めて人は苦労の汗を流す。そういうもののためにトガはすり切れ、私たちは幕舎の中で年老いることを、余儀なくされ、よその国の海岸へと追いやられる。十分なだけのものは手許にある。貧乏とうまく付き合う人こそ富める者だ。(12)

◯そんなものはすべて投げ捨てたまえ。君は賢明なのだから。というより、そうすれば賢明になれるのだから。そして、大急ぎで善き精神を目指したまえ。束縛があれば、解くか切るかしたまえ。(63)

◯けれども、私は君の意思の強固さを試したくて仕方がないので、偉人の教えの中の一つを君にも教えよう。数日の間に限って、きわめて少量で粗末な食事とごわごわしてぼろぼろの服で我慢してから、自分自身に向かって言ってみたまえ、「これが恐れていたものなのか」と。(68)
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