ナンシー・クレス『ベガーズ・イン・スペイン』(早川書房、2009)

田舎育ちの元小学校教師によるSF短編集。著者は結婚を機に数年で小学校教師を辞め、やがて子育てのかたわら教育学と文学の修士を取得。

コアなファンになるとSFは設定メモさえあればいい!というレベルに至るそうですが、これも設定だけで充分読ませるレベルです。
タイトルは"スペインの物乞い"の意で、優秀な資質で富を築き上げる無眠人にたかる有眠人、"血をすするヒルども"を指しています。

遺伝子改良が合法化されたアメリカ、ある富豪が研究所を訪れ、知能、身体能力、外見などの通常の遺伝子改良に加えて眠る必要のない資質を求める。数年後、富豪は二人の娘、無眠人リーシャと未改良のアリスを得る。お話としては、双子の対立や未改良の通常人から無眠人への恨み、ひがみ、迫害などが主眼ですが、人物の口を借りて語られるアメリカ的自由主義の観念も沁みてきます。


【本文より】

◯「強者には弱者から力ずくでなにかを奪う権利なんてないのよ」とスーザン。
「弱者も、強者から無理やり何かを奪う権利はない」とカムデンが言った。

◯「おれたちにはほかの多くの連中よりすぐれたことができて、有眠人とも相互に利益となる取引ができて、強者と弱者のあいだにはっきりした差異がないならーおれたちと取引もできないほど弱い連中に対してはなんの義務があるんだ?いまでもおれたちは、得るよりも多くを与えようとしているー自分たちは何ひとつ得られなくても、そうしないといけないのか?障害者やハンディを負った連中、病気や怠け者や無精者も、おれたちの生産したもので面倒を見てやらないといけないのか?」
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望月もちお

Author:望月もちお
モチ好きな祖父に名付けられた本名です。

手ぶら通勤おじさん

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2017.10 ガンプラに目覚める。ミニマリスト廃業。
2017.5  ミニマリストに目覚める。
2004〜プリストンテールやってました。2009がピーク。

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