きだみのる『気違い部落周游紀行』(冨山房、1981)

えげつないタイトルで図書館でも貸出禁止になっていますが、中身は正統派社会学に連なるものです。

ファーブル昆虫記などの翻訳で知られる著者は戦前からフランス留学をした国際派。しかし敗戦のあおりで日本に「閉じ込められて」しまうことに。

それなら内部の探検だ!とばかりに八王子の古寺に居を構え、曰く「気違い部落」の愛すべき英雄たちの観察日記を雑誌連載。(曰く「珍らしい菌や昆虫の不思議な行動の観察と同じ」と。)そのまとめがこれです。

自ら漢籍、ギリシャ古典に詳しいというだけあって戦前知識人の重厚な、でありつつ諧謔を秘めた文体もなかなかに味わい深いものです。

一見知識人の傲慢にも思えますが、禅的反語で愛情の裏返しなのかもしれません。(続編がシリーズ化しています)


【本文より】

◯だがもし部落の勇士たちが、自己を常に中庸或は中道を歩き、その行動の基礎をなす判断は、一般の人がしかく思い込みたがるように、恰も常に謬りなく中正であると信ずる習慣を持って云云しているのだったら、彼らは殆ど存在しない中庸人の地帯上にあるというよりも、むしろ真実気違いに属する症状を示していると考うべきであろう。

◯思考の結果は極めて犀利な場合もあるが、思考を導く方法に欠陥がある場合には思考の病気を表すこともある。何れにもせよ、観察者に深い興味をそそることは、珍らしい菌や昆虫の不思議な行動の観察と同じである。
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望月もちお

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2017.10 ガンプラに目覚める。ミニマリスト廃業。
2017.5  ミニマリストに目覚める。
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