池井戸潤『銀行仕置人』(双葉社、2005)

池井戸潤『銀行仕置人』(双葉社、2005)

500億円の融資焦げ付きの責任をかぶせられ「座敷牢」送りとなったエリート銀行マン黒部の復讐物語。

のちのドラマ「半沢直樹」の不正融資、同期近藤の座敷牢送りエピソードのプロトタイプ。

本部営業第三部次長として法人融資を取り扱う黒部、部長の指示で意に染まぬ案件を進め、あげく役員会で融資推進の立場で説明をすることに。
一年が経ち部長の佐伯は企画部長に栄転、その派閥のボス立花は役員となる。

ここで融資先の粉飾が露見、保身を図った元部長はすべての責任を黒部に押し付け…

かくして出向待ちとなった黒部は「人事部付」となり、窓もない通称「座敷牢」で名簿整理の雑務に従事。
不遇の日々を過ごす黒部であったが、佐伯部長、立花常務の不正を嗅ぎつけた人事部長に見出され、真相を暴くべく活動。

この「座敷牢」での名簿整理の描写が詳しく、エリート銀行マンを自認する黒部にとっての無念さ、悔しさが語られるところですが、
この名簿整理、好きな人にはたまらぬ仕事であるように思えてなりません。

【本文より】

◯「こちらの資料は、この二年間に発令した人事が記録されています。これを元に、どの部課、どの支店に誰が所属しているのかを整理してもらいたいんです。それを元に、新しい行員名簿を作成しますから」
「それを私にやれと」
「不満ですか」

◯その二日目の午後四時過ぎ、ドアがノックされ、赤鉛筆を握りしめたまま黒部は顔を上げた。肩は凝り固まって動かすとばりばりと音がするほどまでになっている。

◯この間に厳冬の二月が過ぎ去り、暦が変わった。まだ冷たい風にも、ほのかな春の匂いがまじりはじめる季節だ。だが、”戦犯”扱いの黒部は、窓もない個室で、ひとり行員名簿の整理という不毛な作業を強いられる日々を送っていた。

◯「人事みたいに言わないでくださいよ、黒部さん。あなたの給料を考えると、ほんとうに高い名簿になりそうだ」




■のちに「半沢直樹」前半のエピソードとして整理されます。
 (大阪編での融資焦げ付きと責任のなすりつけ、近藤の「座敷牢」)




スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

望月もちお

Author:望月もちお
インドア派です。
本棚 http://booklog.jp/users/mocciom

もちお家TW
Twitterより
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード