松林正己『図書館はだれのものか 豊かなアメリカの図書館を訪ねて』(中部大学、2007)

松林正己『図書館はだれのものか 豊かなアメリカの図書館を訪ねて』(中部大学、2007)を読む。

南山大図書館、中部大図書館に勤務し、愛知学院の司書課程講師を務める著者によるアメリカの図書館の視察記録。
著者は南山大独文から図書館情報大に進み、愛知淑徳大図書館情報学専攻の博士課程を修了した本格派です。

現場しか知らない職人タイプとは違い、「知」に対する感性、想いが強く出ています。
専門職としての司書、知の体系を扱う権威ある専門職。アメリカ的プロフェッショナリズムと専門職を軽んじる日本社会への嫌悪感がにじみます。

「知識人とはマージナルな存在である」と喝破したサイードの指摘を待つまでもなく、この疎外感こそ著者がホンモノの知識人であることを示しています。

【本文より】
◯そして全学問体系の中で、この学問体系全体をあつかう学問は哲学と図書館学しかないのである。その中心的課題は知識であり、哲学は精確な知識の探究であり、図書館情報学は諸学の具体的な知としての図書館資料を体系的に整備、保管して、利用に供するのがタスクなのである。つまり哲学と図書館情報学は、コインの裏表のごとく相互を補完しあう関係にある。

◯オックスフォードで哲学を講じるルチィーアーノ・フロリディは情報哲学(Philosophy of information)を定義した延長で、図書館情報学は応用情報哲学の一つである、という解釈を提出して欧米の図書館情報学界に一石を投じた。その根拠となったのは、百科全書的体系性と視点をもつ学問は哲学と図書館情報学だけだというものである。確かに知の世界を包括的にあつかう職業は図書館の専門家、百科事典編集者、哲学者など非常に限られた職業しかない。
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