アンサーリー『イスラームから見た「世界史」』(2011、紀伊國屋書店)

アンサーリー『イスラームから見た「世界史」』(2011、紀伊國屋書店)を読む。

アフガニスタン出身の在米編集者が自らの世界観の整理を兼ねてイスラーム世界史を述べたもの。

地中海世界と中華世界を繋ぐ交易圏だったイスラーム以前のミドルワールド(いわゆる「中東」)から説き起こし、ムハンマドの事績、ヒジュラ、正統カリフ時代、4代カリフとなるアリーの道のりと暗殺、党派分裂。

盛りだくさんの内容でどこから読んでも愉快ですが、特に初期イスラムの共同体(ウンマ)の理念とカリフのあり方、思想の違いからアリー党(シーア派)が分岐していく様子など、一般の世界史概説では軽く流されてしまうところを深く知ることができます。

当初、口伝あるいはメモ書きが残る程度だったクルアーン(コーラン)についても、この正統カリフ時代に順次整理がなされ、正典化されていきます。不明確な啓示は類推(のちのキヤース)によって整理され、厳格化。

ムスリムは飲酒を禁じられている、という一般的なイメージがありますが、これはムハンマドの初期啓示ではなく、二代カリフのウマルの類推によって定められたもの。

【本文より】
◯クルアーンは飲酒に対する刑罰を特に定めていなかったが、ウマルは類推によってその刑罰を導き出した。この場合の類推は以下のように行われた。すなわち、クルアーンは中傷という罪に対して鞭打ちの刑を定めている、人は酒を飲むととかく他人を中傷するものなので、飲酒に対する刑罰もやはり鞭打ちの刑であらねばならない、とウマルは断じたのだ。こうした類推(キヤース)に基づく論証は、後世のムスリム法学者が法判断の一つの典拠としてさかんに用いるようになった。
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