ヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』(1993、草思社)

ヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』(1993、草思社)を読む。

著者は自然人類学者で、本書の発刊当時はニューヨーク自然史博物館研究員。

結婚の形態や愛情3年説に迫った興味深い著作です。後者はとにかく世間でマイナスイメージが語られますが、これにも進化心理学的な合理性があったのです。愛情の発展的解消、安定をもたらす愛着へ。

具体的には、リーボウィッツの愛の化学作用の研究とその後継研究に言及し、ロマンティックな恋愛の期間は18ヶ月から3年持続し、のち、より安定的な愛着へと移行すると語られます。

また結婚形態についての言及も興味深く。繁殖戦略だけを思えば、オスにとって一夫多妻のほうが有利なように思われますが、しかしそれでも一夫一妻のほうがより自然なのだとか。

【本文より】

◯ここで、さらに油断ならない情動が生まれる。愛着だ。このあたたかくて快適で安定した感情については、おおぜいのカップルが感じたと語っている。リーボウィッツは恋の情熱がうすれると愛着が生まれ、新しい化学作用にとってかわられると考えている。(中略)これは心を落ち着かせ、苦痛をやわらげ、不安をしずめる働きがある。(51)

◯この男女の好みは先天的なものだろう。元気な子孫を産むことができる女性と恋に落ちたほうが、オスの遺伝子には有利だからである。若さ、きれいな肌、輝く瞳、つややかな髪、白い歯、しなやかな身体、元気のよさなどは、遺伝子の未来にとって重要な健康と活力を意味している。女性にとっては、財産は力と権威と成功、扶養能力を意味している。もちろん、子供たちをやしなえる男性に惹かれるほうが、女性にとって生物学的に有利なのだ。(43)

◯一夫一妻は自然なのか。そのとおり。(中略)一夫多妻もまた自然なのである。女性は不利益を資産が上回ればハーレムに入る。一妻多夫もまた自然である。だが、複数の妻たちは争うし、複数の夫も角つきあわせるだろう。男も女も、よほどの財政的魅力がなければ、配偶者を共有しようとはしない。(中略)人間の場合だけ、一夫多妻も一妻多夫も例外的な選択でしかなく、一夫一妻がふつうなのだ。ひとは、強いてうながされなくても、ふたりずつペアになる。(65)
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