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ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』(2005、紀伊國屋書店)

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』(2005、紀伊國屋書店)を読む。

76年の原著を米国で心理学を修めた柴田氏が訳したもの。

著者のジェインズは心理学を専攻し、プリンストン大学教授として動物行動学を研究し、のち人間の意識へと興味を移しています。

本書では意識の誕生に迫るべく、考古学、歴史についても掘り下げつつ、人類における哲学と意識の在り方に迫っています。欧米式の知識人というべく、プラグマティズム一辺倒でなく、ギリシャ詩に「人の意識の在り方」を探ってみたり、権力者の埋葬形態から残された人民たちの心の変化を類推したりと分野を問わぬ考察ぶり。

簡単にまとめてしまうと、文字を持つ以前の人間の心は、命令を下す「神」と呼ばれる部分と、それに従う「人間」と呼ばれる部分との2つ、すなわち「二分心」を持っていたとの仮説を提示しています。

評論家に「ソフトウェア考古学」と評されただけあり、証明も反証も困難な推論の世界ですが、思考実験として実に興味深く。これで生涯遊べてしまうレベルです。

この二分心は現代人のココロにもまれに発現し、統合失調症として知られます。古代社会が、あるいはギリシャの神々が、あるいはジャンヌダルクが、「声」を無上なる神の命令ととらえてひたすらに目的に邁進した姿勢。この「声」に対する受容プロセスはまさに統合失調症そのものだと。

文明以前の人類はみなこの統合失調症の状態にあり、やがて文字を持つことで逃れ出してきたが、ときに先祖返りを起こすものが出るという衝撃的な解釈。

1982年の前書きを読むと、著者は続編を予定していたようですが、完成を見ることなく97年に脳溢血で死去。唯一の著作としてこれが伝わるのみです。

【本文より】
◯『イーリアス』の英雄は、私たちのような主観を持っていなかった。彼らは、自分が世界をどう認識しているかを認識しておらず、内観するような内面の〈心の空間〉も持っていなかった。

◯現代の統合失調症患者が聞く「声」は、患者本人に劣らず、いや、しばしば彼ら以上に「考える」。こうしてナトゥフ人が聞いたと私が想像している「声」は、やがて、王自身が言ったためしもないようなことを即興で考え出し、「言う」ようになりえたはずだ。

◯(統合失調症について)彼らはパニックに陥るが、パニックは彼らに起きているのではない。彼らはどこにもいないのだ。どこにも拠り所がないのではない。「どこ」自体がないのだ。そしてそのどこでもない場所で、どういうわけか自動人形になり、自分が何をしているのかわからぬまま、自分に聞こえてくる声や他人に操られ、異様でぎょっとするような振る舞いをする。(中略)だが、じつは彼らは「二分心」に逆戻りしているのだ。
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