最相葉月『セラピスト』 (2014、新潮社)

最相葉月『セラピスト』 (2014、新潮社)を読む。

星新一の評伝などで知られるライターが各所の臨床心理士に取材したもの。セラピストの役割、本質。絵画療法と箱庭療法。精神科医とセラピストはどう違うのか。心理療法の歴史をさらっとなぞれます。

20代にして親の介護に追われ身をすり減らし、病んでいった著者。患者であると同時に編集者でもあるという立場で、心理療法を体験しておられます。

小さな自己の育て直し、精神と記憶の棚卸し。無自覚だった自己の内面に光を当て、解き明かしていく過程は読み応えあり。家の大掃除や保険の見直しと同じ頻度でこういう人生の棚卸しをするとよい生き方ができるように思います。

【本文より】
◯自分の病について書くことを決意したのは、自分自身をつまびらかにすることなく、他者のプライバシーに踏み込むことはできないと考えたからである。


◯そんな疑問を抱いた中井が、患者と面接を重ね、看護日誌を読むうちに気づいたのは、回復していく過程では、患者があまりものを話さなくなるということだった。幻覚を見たり、妄想に苦しんだりしている非常時には、自分の状況をなんとか言葉にして伝えようとする。医師や看護師も注意深く対応する。ところが症状がだんだん落ち着いて消えていく回復過程では、病との闘いでエネルギーを消耗しきっているため、めったに語らなくなる。


◯因果関係をつくってしまうのはフィクションであり、ときに妄想に近づきます。そもそも人間の記憶力は思い出すたびに、不確かなところをじぶんでつくったもので埋めようとする傾向があるので、それがもっぱら働きだすと思いつくものが次々とつながっていく。
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