壇上寛『永楽帝 ―華夷秩序の完成』(講談社、2012)

壇上寛『永楽帝 ―華夷秩序の完成』(講談社、2012)

明の三代皇帝の評伝。元末の混乱期、のち明朝を起こす太祖朱元璋の立身から語り起こし、制度や社会情勢にも丁寧に触れられています。

永楽帝は太祖朱元璋の四男で、本来は皇帝になれるような身分ではありませんでしたが、皇太子である長兄の死後を継いだその息子、二代皇帝の建文帝の隙を突いて実力で帝位に就いています。

公式の記録に見られる永楽帝の苦悩、また都合よく史書の記述を変えていくさま。勝者が歴史を作る、でありつつも、断片資料や内容の矛盾から改竄の跡は透けて見えてしまいます。

【本文より】

◯彼は即位の当初から、ぬぐいきれない過去を背負わされていた。彼の一生はそれとの闘いであった。彼は衆目が一致するところの偉大な皇帝にならねばならず、事実、彼はそのために苦闘し、そしてやり遂げる。この点だけを論じて見ても、彼が並の皇帝でなかったことは明らかである。

◯永楽時代に編纂された官撰書のなかでは、総じて三人の兄たちに対する評価が低い。低いどころか、指導者としては失格の烙印が押されている。それは燕王が皇帝になるべくしてなったことを、暗黙のうちに読者に了解させるためである。そこではありもしない事柄が、あたかも事実のように語られ、燕王を主役とする舞台が繰り広げられる。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

望月もちお

Author:望月もちお
インドア派です。
本棚 http://booklog.jp/users/mocciom

もちお家TW
Twitterより
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード