チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション(上)』(早川書房、2012)

チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション(上)』(早川書房、2012)

人間の体に甲殻類の頭を持つケプリ、鳥人ガルーダ、低能の飛行人種ヴォジャノーイなど多くの種族が同居する、と一見ファンタジーものに見せながら、冷静な記述でそれを当然のこととして構成自体を読ませるSFに仕上がっています。

主人公は統一場理論の研究に専念するため教授職を捨てて裏通りに住む学者のアイザック。
錬金術に薬の調合と怪しい仕事を受けて研究費を稼ぎ、己の理論の実証に邁進します。

なぜかハードSFの主人公になる学者は科学オタクでありながらリア充要素をそこそこに持っているものですが、アイザックも多分にもれず彼女持ち。
しかし人間の体に甲殻類の頭を持つ〈ケプリ〉の恋人リンとの付き合いは人目を忍ぶもので、アイザックとリンの行き違いも。

そんなアイザックのもとに、翼をもがれた鳥人ヤガレクが現れ、「再び飛べるようにしてほしい」と依頼。
学者の魂を刺激されたアイザックは手探りで課題解決にあたります。

無秩序に発展を続けるペルディード・ストリート駅。舞台となる街の中心であり、渾然一体たる多種族の住人たちの有りようの象徴でもあるこの駅。
学者アイザックは自らの知的態度をこの駅になぞらえます。

【本文より】
◯「わたしに頼むのが最良の策だと思うね。私は化学者〈キミスト〉でも生物学者でも魔術師でもない …私は好事家〈ディレッタント〉だ、ヤガレク。道楽者なんだ。わたしは自分のことを …自分のことを、あらゆる思考の学派に開かれたメイン・ステーションだと思っているんだ。ペルディード・ストリート駅みたいな。知っているかい?」

◯『人間なんて、ケプリの胴体と脚と手を持っていて、頭は毛を剃ったテナガザルじゃないの』と、かつてリンは彼に言ったことがある。


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