小川一水『天冥の標Ⅱ 救世郡』(早川書房、2010)

75年生まれの若手SF作家による壮大な物語。現代の語り部とも称すべき大構想を広げまくっています。

全10巻構成とのことで、それぞれに用語や歴史のつながりを持ちつつ、やたらに長い時間軸で展開しています。

第2部たる今作では、現代を舞台に未知の伝染病の拡大、医師の活躍と隔離患者の悲哀、そして災いの根源に迫っています。謎は説かれずにこのパートのお話は終わってしまいますが。。。

星系時代に展開した第一部の謎の疫病の「始まり」を描くものとして、説得力のあるお話が作られています。現代を舞台にしたためかサスペンスじみており、スペースオペラは望めませんがそれでもなお、科学的整合性への配慮はやはりSFファンを唸らせるもの。


【本文より】

◯休憩時間まで無線で指示されるなど、まるで軍隊だが、今ではこの厳格なシステムが心底ありがたかった。これほどまでに異常な状況下では、自分たち個々の思考やモテベーションなど維持したいとも思わなかった。患者は何千人という数なのだ。その生死は疫学的統計によりすでに決まっているようなものだ。

◯さんざん抗議されて、火をつけられた挙句に、追い出されちゃったでしょう。ああなるんですよ。仲間だと思っていた人が、動物みたいになって襲いかかってくる。場所さえしられてしまったら、そうなるんですよ。汚染地域の立て札でも立ててみましょうか?フェンス張ってみましょうか?血迷った男が親切ごかして入ってこないって、先生が保障してくれますか?
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